生成AIは、近年の新薬開発において革新的な役割を果たしており、世界中でさまざまな成功事例が報告されています。以下に、2024年から2025年にかけての注目すべき事例を紹介します。
世界の最新事例
1. Insilico Medicine(米国・中国)
Insilico Medicineは、生成AIを活用して肺線維症治療薬を設計し、世界初のAI設計分子として臨床試験に突入しました。従来5年かかる開発期間をわずか18カ月に短縮し、AI創薬の実用性を示しています。
2. Isomorphic Labs(Alphabet傘下)
Alphabet傘下のIsomorphic Labsは、AIを活用して新薬の設計と開発を行っています。同社は、AlphaFold技術を基に、タンパク質構造の予測を行い、より効率的な薬剤設計を目指しています。
3. Basecamp Research(英国)
Basecamp Researchは、環境DNAを収集し、AIモデルのトレーニングに活用しています。これにより、AlphaFoldの性能を最大600%向上させ、創薬プロセスの効率化に貢献しています。
4. FDAのAIツール「Elsa」
米国食品医薬品局(FDA)は、生成AIツール「Elsa」を導入し、科学的レビューの効率化を図っています。Elsaは、臨床プロトコルのレビューや副作用の要約などを行い、新薬承認プロセスの迅速化に寄与しています。
5. プロステートがん治療のAI予測モデル
米国、英国、スイスの研究者は、AIを活用して高リスクの非転移性前立腺がん患者がアビラテロン治療から利益を得られるかを予測するモデルを開発しました。これにより、治療の個別化が進み、副作用のリスクを減少させることが期待されています。
日本国内の最新事例
1. アステラス製薬
アステラス製薬は、AIを活用してわずか7カ月で新薬候補物質を特定しました。これにより、従来の3分の1の期間での候補物質特定が可能となり、開発コストの約45%削減を実現しています。
2. 中外製薬(MALEXA)
中外製薬は、独自のAIシステム「MALEXA」を開発し、抗体医薬品の開発プロセスを効率化しています。抗体設計の最適化時間を最大80%短縮し、候補抗体の品質予測精度を最大90%向上させています。
3. 富士通 × 理化学研究所
富士通と理化学研究所は、生成AIを活用して電子顕微鏡画像からタンパク質の構造変化を予測する技術を開発しました。これにより、構造変化の予測時間を従来の1日から2時間に短縮しています。
4. SyntheticGestalt × 大鵬薬品
SyntheticGestaltと大鵬薬品は、生成AIを活用したシステイノミクス創薬の基盤拡充に向けた技術検証を開始しました。100億件の化合物情報を学習したAIモデルを活用し、新規化合物の分子プロファイル予測精度を向上させています。
5. Elix(連合学習プロジェクト)
Elixは、京都大学と共同開発したAI創薬特化型の連合学習用ライブラリ「kMoL」を活用し、製薬企業17社と連携してデータの秘匿性を保ちながらAIモデルの学習を行っています。これにより、創薬プロセスの効率化と新規性の高い化合物の発見が期待されています。
生成AIは、創薬プロセスの各段階で革新をもたらし、開発期間の短縮やコスト削減、副作用の予測精度向上など、多くの利点を提供しています。今後も、AI技術の進展とともに、より多くの新薬が迅速かつ効率的に開発されることが期待されています。
